報酬系回路を知ることで努力する理由が理解できる

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報酬系って何?

 報酬系というのは脳にあるシステムの一つで、快楽を感じる行為を覚えるための仕組みです。食事や趣味を楽しく感じたり、これらの楽しい行為をしたいと思うのはこの報酬系が存在するためです。楽しいこと、すなわち報酬がもらえることをするための仕組みなので「報酬系」と呼ばれています。

 犬にお手を覚えさせるときにお手ができたら餌を与えますね。これが報酬系の働きにより行動を覚える代表例です。

報酬系はドーパミンの分泌で成り立っている

 この報酬系にはドーパミンと呼ばれる物質が関与しています。ドーパミンはモノアミン類と呼ばれる神経伝達物質の一つです。モノアミン類にはほかにセロトニン、ノルアドレナリンがあります。

ドーパミンは幸福を感じさせる

 ドーパミンは快楽や興奮を感じさせる物質であり、仕事で成功を収めたり、勝負ごとに勝ったりすると嬉しいのはこのドーパミンが脳内で増加するためです。

 例えば好きなものを食べると、脳内にドーパミンが放出されて報酬系が活性化され幸福感を感じるようになります。

ドーパミンは依存症を引き起こす

 しかし同時にドーパミンはギャンブル依存や薬物依存などの中毒、またはサイコパスなどの精神疾患を引き起こす原因でもあります。アルコール依存、薬物依存などはこれらの物質が報酬系を活性化するものだと脳が記憶してしまうためにおこります。

※ちなみに、セロトニンは幸福を感じるための神経伝達物質、ノルアドレナリンは不安や興奮を感じるための神経伝達物質になっています。

 脳はストレスを感じたときにドーパミンを分泌する行為を求めます。そのため食事、買い物、アルコール、パチンコやソシャゲなど手軽にドーパミンが分泌される行為を求めます。
 その結果、ストレス太りをしたり、無駄なものを買ったり、だらだらとスマホをいじったりしてしまいます。
依存症は報酬系が悪い方に作用した例です。

ドーパミンが機能しないと統合失調症の症状が出る

  その他にもドーパミンの異常による悪影響が知られています。
一つが過剰分泌による幻聴や被害妄想です。
 統合失調症の方はドーパミンが過剰な分泌が原因であると言われており、幻聴や被害妄想はその影響であると言われています。

 一方でドーパミンが低下すると意欲の低下したり感情の起伏がなくなったりしてしまいます。自律神経の異常にもかかわっており、手足が震えたり体のバランスが取れなくなったり、鬱症状があらわれます。
 また、前頭葉のドーパミンが低下すると、ワーキングメモリの機能が低下して、会話の内容が頭に入らなかったり、見たことをすぐに忘れたりしてしまいます。
 統合失調症では皮質下のドーパミンが過剰になりますが、前頭葉ではドーパミンが低下することが知られています。
 統合失調症になると頭が働くなってしまうのはこのためです。

脳内の仕組み

ドーパミンは細胞間の接続を制御するスイッチ

 ドーパミンは神経細胞と神経細胞の間の情報伝達に使われています。ドーパミンがあることで細胞間でまるで電線のように情報の伝達ができるようになり、ドーパミンがないと細胞一つ一つが独立してしまい、断線したケーブルのようになります。
 そのためドーパミンを作りだしたり回収したりすることで、報酬系回路の接続と非接続、すなわち快楽を感じる状態と平常の状態をスイッチしています。

依存症のときはドーパミンが常に存在している

 薬物やアルコールを使ったときや依存症の状態では、ドーパミンの回収、つまり回路の非接続化が上手くできない状態になっています。
 そのため常に回路が活性化している状態にあり、その状態が続くとそれが平常の状態になってしまいます。回路のより強い活性化を求めて、より強い刺激のために薬やアルコールを増やしてしまいます。

 静かな部屋では小さい声で伝わるのに対し、騒音中では声を大きくしないと会話できないようなものです。

さいごに

 正常な状態では学習機能や向上心の源として役に立っている報酬系の回路ですが、少しバランスが崩れると依存行為を招くものとなっています。
 報酬系回路が正常に働くことは精神や肉体の安定性にかかわる重要なことです。スポーツで勝つために苦しいトレーニングを耐えたり、仕事を成功させるためにこつこつ努力できたりすることはこの報酬系回路があるためです。

 欝傾向にある人はこの報酬系回路が弱いことが知られています。報酬系回路は意識的に鍛えることができます。嬉しいことや達成感があるときは素直に喜ぶとこでドーパミン機能が鍛えられます。人の脳も機械的に動いているため、喜んでいるふりでも脳を騙すことは可能です。
 報酬系回路の仕組みを意識することで自分を客観的に見ることができるかもしれません。

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