自閉症とは

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発達障害や自閉症という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
発達障害は社会性やコミュニケーション能力の成長が周りより遅く、精神性や行動に障害があるグループのことをいいます。
※このページでは広汎性発達障害と発達障害と呼ぶことにします。

自閉症はその発達障害に含まれる状態の一つです。
単に自閉症というときは発達障害のうち、以下の症状を持つものを言います。
・対人社会性の質的な障害
・言語コミュニケーションの質的障害
・強いこだわり

上記3つを満たさない場合はアスペルガー症候群など、ほかの広汎性発達障害に分類されます。

※ICD-10で検索すると詳細な分類が分かるかと思います。

自閉症の特徴

自閉症とは本質的には「自分を定位できない」という問題を抱えています。
ここでの「定位できない」とは、他者と自分との境界があいまいであることを意味します。
境界があいまいであるため自閉症の方は常に他者から侵入されることを恐れており、自衛の手段として様々な症状が現れています。

意思を表情やジェスチャーで表現できない

自閉症児は他人の表情や行動を認識すること、および自分の体を認識することが苦手です。そのため表情やジェスチャーでの表現方法を学ぶことができず、無表情になってしまいます。

発語能力があるにもかかわらず言葉によるコミュニケーションができない

例えば自閉症の子供はおもちゃが欲しいときに「おもちゃを買ってあげるね」と発することがあります。 自閉症の子供は自分と親の境界がわからないため、親の立場に立っていることがしばしばあります。
自閉症児には自分と他者・物体の区別ができていないため、「これ」「あれ」などの指示語を理解することができません。同様に「あなた」「わたし」などの指示語も理解することが難しいです。

人と目を合わせない

自閉症児は、他人と目を合わせることに不快感やストレスを覚えます。これは他人に見られていると認識することを嫌がっているように思えます。また、視覚だけでなく別の感覚を使おうとしたり思考に注力しようとしているため視線をそらすこともあります。

強いこだわりを持つ行動がある

自閉症児には強いこだわりを持つ行動があり、その行動が妨害されるとパニック状態に陥ることもあります。
例えば、時計の針が2を指示さないと布団に入ろうとしない、おもちゃのタイヤを延々と回し続ける、などが挙げられます。

身体感覚の特徴

自閉症は自分と他人の境界があいまいと書きましたが、体に関しても同様のことが言えます。
重度の自閉症では自分の体の認知ができておらず、肉体が分離した状態になっています。
自分自身を目の前の物体と同一視してしまう、という意味です(これを癒着的同一化といいます)。

自閉症の方にはクレーン現象と呼ばれる特徴的な行動があります。
何かしたい行動があるときに他人の手をつかんで自分の手の延長のように使う行為のことです。
これは他人の手を自分の体の一部だと思っているために起こす行動です。

共感性がない

共感するという行為は、五感を通して感じた心証が、自分と他者の間で同じであることを言います。
人は他者・物体・事象のやり取りを通して自己を認識します。自己を認識できて初めて他者にも五感があり自分と同じ刺激を受けているのだろうと考え、おなじ考えをしているのだろうと推測します。
自閉症では自己の認識ができていないため、共感するという行為が難しくなっています。

尚、自己の認識は高度な行為であり、多くの動物は正確に認識することはできません。
有名なミラーテスト呼ばれる実験があります。動物の目の前に鏡をおき、映っているのが自分自身であると理解するかどうかの実験です。これによるとイルカ、ゾウ、オランウータンなどの動物は自己を認識できましたが、パンダ、テナガザル、イヌなどは自己の認識に失敗しています。また、人の赤ちゃんは生後1歳半ごろからミラーテストに合格します。

時間や空間の概念が薄い

人間は言葉をなくして「その時」「その場所」を記憶することができません。
言語能力の低い自閉症児は、時間や空間を無視して出来事を記憶するしており、脈絡のない過去の情報を羅列していくことがしばしばあります。

自閉症の原因

自閉症の原因は育児環境よりも遺伝などによる先天的な脳の障害によるものと考えられています。
日本では発達障害の割合は5%程度、自閉症の割合は1%程度であり、女児より男児が4倍程度多いとされています。

おわりに

自閉症児は自分が家族に及ぼしている影響を十分に察知しています。また自分が周りからどのように見られているのかも理解しています。そして、自閉症児は特異の目で見られることもあり、日常から強いストレスを感じています。このような二次障害により自閉傾向がますます強くなってしまいます。

自閉症スペクトラムという分類基準があるように、自閉症はいわゆる普通の人の延長にいます。もしこの記事を見ている方が普通の方であり、周りに自閉症の方がいるのであれば、上記の特性を理解していただけると幸いです。

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