統合失調症はメジャーな精神疾患の一つで、インターネット上でもよく知られていると思います。スラングとして、糖質、統失などと使われています。
特徴
統合失調症には大きく3つの症状があり、「陽性症状」、「陰性症状」、「認知機能障害」と呼ばれます。統合失調症の進行度や個人差によって現れる症状は異なります。
陽性症状(幻覚や妄想)
- 幻覚が見えたり幻聴が聞こえたりする
- 誰かに支配されていると感じる
- 自分の思考が他人に盗まれる(思考奪取)など、現実にはあり得ないことを信じ込み、悪い方に思考が傾く
- イライラや緊張
- まとまりのない思考や行動
- 極度に興奮したり奇妙な行動をとる
陰性症状(鬱に似た症状)
- 疲れやすい
- 引きこもるなど、人とのかかわりが減る
- 感情の変化が乏しい
- 会話が乏しい
- 意欲や気力の低下
- 無関心になる
認知機能障害(思考機能の異常)
- 注意力、判断力、思考力の低下
- 柔軟な思考ができない
- 物事をグループ化して概念化できない
- 過去の記憶を使った判断できない
統合失調症と聞いて一番イメージしやすいのは陽性症状だと思います。自己の概念を確立することができず、他人との境界が曖昧になってしまいます。これは発達障害でも見られる症状です。
統合失調症は診断としては他の精神疾患と明確に区別されますが、部分的な症状が他の疾患とオーバーラップすることは多々あります。
人口の1%程度に発症する
統合失調症にかかるのは人口の1%程度とされています。男性の方が女性よりも1.5倍程度かかりやすく、10歳代後半から30歳代に患うことが多いようです。
原因は先天的な脳機能の異常?
遺伝子研究により、統合失調症を起こしやすい遺伝子が存在することが分かりました。そのため統合失調症は生まれつきなりやすいかどうかが決まっており、親から子へ遺伝します。
関連する遺伝子の中には神経に関連するものもあり、統合失調症が神経異常によって引き起こされるということを裏付けています。また、他の精神疾患と関連のある遺伝子も多いことも精神疾患を理解するうえで重要な点です。
また、神経伝達物質であるドーパミンの過活性が統合失調症の発症者に見られます。
ドーパミンは緊張させたり興奮させたりするために分泌される物質です。ドーパミンが過剰分泌すると幻覚や妄想を引き起こすということが知られています。覚せい剤などの薬物はドーパミンの過剰分泌を促すため、統合失調症と類似の幻覚や妄想を発生させます。
しかし、ドーパミン系の過活性は統合失調症の原因ではなく、他の神経伝達系に異常が起こり、結果的に活性化していると考えられています。
さいごに
統合失調症は特徴的な思考をすることからよくネタにされることが多いと思います。うつ病や発達障害などの他のメジャーな精神疾患と比べても理解されにくいこともあり、ドーパミンの性質により攻撃的な部分もあるため危険な人物のようにとらえられることもあるかもしれません。
統合失調症の罹患者は元来の性質としてモノの認知の仕方が独特です。それは脳機能、あるいは神経回路の異常が根本にあるためであり、脳機能の一つ一つを読み解いていくことで、統合失調症や罹患者の性質の理解が進むかと思います。
無理解による偏見はあまりよいことを産まないので、自分が理解できない相手こそ心情を読み取っていく必要があるんじゃないでしょうか。
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