人間関係リセット症候群という言葉を聞いたことがあるでしょうか。言葉から推測はできるとおり、この症候群にかかると人との関わりをリセットしたくなってしまいます。
このページでは人間関係リセット症候群の特徴・原因・関連する精神疾患を書いていこうと思います。
特徴
リセットの仕方の特徴として、相手との連絡ができなくなる状態を作り上げることを好みます。相手の連絡を受け取っているけど無視をし続けるよりも、ある種の覚悟を決めて人間関係を断とうとします。
これは相手からの心理的な侵入を拒むために行っている行為です。相手が自分のことを知りすぎたと感じたときに自分の情報を変更することで、それ以上相手が侵入することを防ぎます。
人間関係リセット症候群はただのスラングで正式な病名ではないため、人によって定義が少しずつ異なっているようです。上記のことは特徴の一つとしてゆるーく捉えてもらえると助かります。
行動例
以下に人間関係リセット症候群の人が起こしやすい行動を羅列していきます。
SNSのアカウントを突然ブロック・削除
SNSのアカウントを突然削除してしまいます。SNSでのやり取りが突然面倒になり、アカウントにアクセスできなくなる状態を作り上げます。
メールアドレス変更を教えない
SNSと似ています。メールアドレスを変えてもほとんどの人にそのことを伝えません。メールアドレスを変えることで相手から連絡ができなくなるようにします。
転職を繰り返す
環境を一気に変えることで、職場の人と顔を合わせないような状況を作り上げます。よほど仲が良かった方でないと連絡はしてこないでしょうから、多くの方と関係は断たれるでしょう。
定期的に引越しをする
環境を変えることで、自分の情報を物理的にリセットします。新しい住所を知人に教えないことも多いでしょう。
性格の特徴
人間関係リセット症候群を起こしやすい性格を記します。
- 無理して人に合わせてしまう
- 人目を気にしすぎる性格
- 完璧主義
- 自分を出すことができない
- 人間関係を手段と捉える
- 人間関係に価値を感じない
これだけ書くと誰でもどれかしら当てはまりそうですね。
原因
幼少期の育てられ方に関係があると言えそうです。親から過度に厳しく育てられたり、反対に親から放置されるような育てられ方ではありませんでしたか?
または、両親が共働きで自分にかかわる時間が短かったり、兄弟姉妹がいるために甘えられる時間が少なかった記憶はありませんか?
小さいころに暴力やネグレクトなどの虐待を受けていると愛着障害という病気になることが知られており、愛着障害を持つ子供が成長すると対人関係に問題が出ることが知られています。
人間関係リセット症候群はその軽度な症状のように思われます。
関連する疾患
ここからは人間関係リセット症候群と関連のある疾患を書いていきます。
回避性パーソナリティ障害
回避性パーソナリティ障害の方は失敗すること、傷つくこと、不安を感じることを極度に怖れています。失敗するくらいなら何もしない方がいいという考えで、何事にもチャレンジしません。自分に自信がなく、どうせ無理だという考えにとらわれています。
人間関係においても傷つくことを恐れて積極的になることができず、傷つけられるくらいなら一人の方がいいと考えてしまいます。本心では他人と関わりたいと思っていながら他人と親密な関係になることができません。
シゾイドパーソナリティ障害
シゾイドパーソナリティ障害の方は何よりも自分の世界を大切にします。欲がなく世捨て人のような生活を好み、他人と関わることをそれほど重要と思っていません。
人との接触は自分の世界を壊されることであるため、親密な関係になることをできる限り避けようとします。
愛着障害
愛着障害は子供に適用される疾患であり、上記の二つのパーソナリティ障害の原因になる可能性があります。
子供の頃の親との関係が良いものではないために、大人になったときに対人関係が不安定になってしまうという症状が出ます。
自己開示が苦手で他人に甘えることが苦手で親密な関係を築けなかったり、あるいは反対に過度に他人に依存してしまい自分でものごとを決断することができなくなったりしてしまいます。
見分け方
人間関係リセット症候群の方を見分けることは簡単ではないですが、日常の言動や過去の行動から推測することは可能だと思います。例えばスマホの電話帳の登録人数が少なかったらリセットした可能性があります。
転職や引っ越しを繰り返している人も人間関係リセット症候群にかかっている可能性があります。
治し方
愛着障害の治療方法が参考になるでしょう。
重要となるのは自分にとっての「安全基地」を確保することです。「安全基地」とは人が不安や恐怖感を抑えてくれる人物のことであり、無条件に自分の居場所となってくれる存在です。自分の考えをくみ取り共感してくれる人を探し、その人とかかわりを持つことで、他人とのコミュニケーションを自然に求めるようになります。
さいごに
人間関係リセット症候群は正式な病名ではないですが、当てはまる人は多そうですね。近年を代表する社会病のようなものかもしれません。
人間関係をリセットしたとしても本人は困っていないように思うかもしれませんが、思いのほか精神的なダメージを負っている可能性があります。少しでも思い当たる節があるなら、試しにお近くの診療クリニックで診てもらうとよいかもしれませんね。
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