自己愛性パーソナリティ障害はパーソナリティ障害の一つです。一言でいうと過剰なナルシストといったところでしょうか。
特徴
特別な自意識
見た目に華があり注目を引く服装を格好良く着こなしたり、もったいぶった言い方をして自分が重要人物であることをほのめかす言動をします。また、有名人のことをまるで親友のように話したり、社会的地位の高いものに進んで接近することで、自分が特別であることをアピールします。
こういった特性から取り巻きの人も自分を称賛してくれる人物を好み、自分の親や配偶者に対しても王様であるかのようにふるまいます。
恥をかくことを恐れる
自信家に見える反面、非常に打たれ弱く、人前で失敗したり欠点を指摘されることを恐れています。自分に非があることを認められず怒りだすこともありますが、自分が悪いということを悟るとひどく落ち込み絶望します。
鬱やひきこもりの併発
すべてをコントロールできるような万能的な自己像を持ちますが、現実に直面してそれが崩れることがあります。そうなったとき、鬱を発症したり、自己愛性の方は現実とのかかわりを避け、決断や実行を回避して、ひきこもることで万能である自己像を保とうとします。
診断基準
以下の9つのうち、5つ以上を満たすと自己愛性パーソナリティ障害と診断されます。
- 自分が重要であるという誇大な感覚をもつ
- 限りない成功、権力、才気、美しさ、あるいは理想的な愛の空想にとらわれている
- 自分が特別であり、独特であり、他の特別なまたは地位の高い人達(または団体)だけが理解しうる、または関係すべきだ、と信じている
- 過剰な称賛を求める
- 特権意識を持ち、周囲は理由なく自分に従うものと期待する
- 目標を達成するために他者を利用する
- 他人の気持ち、欲求を認識しようとしない
- 他人に嫉妬する、または他人が自分に嫉妬すると信じている
- 尊大、傲慢、横柄
分類
反社会性・境界性・演技性と同じく「劇場型」のパーソナリティ障害に分類されます。それぞれのタイプとの違いは下記のとおりです。
- 境界性と比べて対人関係が安定しており、自己評価が高い
- 演技性と比べて冷淡で共感性に欠け称賛を求める
- 反社会性に比べて称賛を求め、犯罪など反社会的な行為を行わない
割合
境界性パーソナリティ障害は0.5%程度の人に発症します。男性の方が多いとされています。
原因
幼少期に親の共感が得られずに、健全で共感的な感情を育むことができなかっと考えられます。自分自身は他人に受け入れらないない欠陥を持つという思いを抱いています。
また、過度に批判的であったり,過度に子供を賞賛する行為が影響する可能性もあるようです。
遺伝的な影響もあると考えられています。
接し方
自分が正しいと思い込んでいるため、頭ごなしに忠告や指導をしたとしても効果がありません。明らかな過ちに対して注意をしたとしても、口先だけの謝罪はするかもしれませんが、心の中では相手に対する憤りを感じています。
上手に付き合うには一度相手が望む通りに王のような扱いをするとよいでしょう。それにより相手は次第にあなたのことを特別な存在であると認め始め、あなたの進言にも多少耳を傾けてくれます。このときは相手の自尊心を気づ付けないような言い方をすることが大切です。
義務や道理ではなく不安や嫉妬心、功名心を刺激することが有効です。負けん気が強く嫉妬深いため不利益な点に触れたり競争心を煽ると行動を起こすようになります。
治し方
自己愛性パーソナリティ障害の人は他人の教えを聞くことが最も苦手です。成長するためには、自分がつまらないと思っていることに学ぶべきことが秘められていると考え貪欲に知識を吸収することが必要です。
また、人付き合いが苦手という人も多いでしょう。そうした弱点を補うためには保護者的性質をもつパートナーを見つけるとよいでしょう。
チームプレーや社会貢献活動そすることで、直接的な成果を上げる以外のことで周囲に貢献することを学ぶことも大切です。
さいごに
自己愛性パーソナリティ障害のwikipediaを見るとやたら長いですね。自己愛、ナルシシズムは人の基本的な性質の一つなので注目度が高いこともうなづけます。そのため自己愛性パーソナリティ障害は比較的理解しやすいと思います。身近にも思い当たる人物がいるのではないでしょうか。
勘違いしやすいのは、このタイプの人は必ずしも自分大好きというわけではないということです。一見すると高い自尊心を持つように見えますが、根底には低い自尊心や羞恥心があります。
自己愛性パーソナリティ障害は他のパーソナリティ障害とも大きく関係しています。そのため自己愛性パーソナリティ障害を理解することで他のパーソナリティ障害の理解も深まるのではないかと思います。
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