人には五つの味覚(甘味 、酸味、塩味、苦味、うま味)がありますが、どの味覚がなんの化合物を検知しているのか知りませんでした。大雑把に調べたのでまとめます。
甘味
スクロース、フルクトースなどの糖類の他、100種以上の有機化合物が甘みを持つようです。
唾液で糖質を分解すると感じられるので、炭水化物を摂取するために必要な味覚なのでしょう。
酸味
pH(ペーハー)の低下で感じることができます。つまり酸性を示す化合物があることで感じます。
腐ったものを見分けるために備わった仕組みのようです。食べ物が腐敗すると糖や油脂が(自動的な酸化、または微生物によって)酢酸などに変化するためです。
梅干しやクエン酸単体は健康に良いとされているので、現代では酸味はよいものとして扱われていると思います。クエン酸はミネラルの腸からの吸収率を高めます。ただし、クエン酸の疲労回復効果の原理は確認できていないようです。
塩味
塩味はナトリウムイオンによって感じられます。
ナトリウムは細胞の浸透圧の維持、神経伝達、栄養素の吸収・輸送など幅広く関与しています。生物としての機能に必須のため味覚として検知できるのでしょう。
苦味
苦味はアルカロイド類、苦味アミノ酸、苦味ペプチド、カルシウム塩、マグネシウム塩などによって感じられます。植物の苦味はおおむねアルカロイドで、聞きなじみのあるアルカロイドとしてカフェイン、ニコチン、カテキンが挙げられます。
アルカロイドは毒として作用するため、苦味は毒を見分けるために役立ちます。ただし、多量でないアルカロイドは、腎臓のろ過機能を上昇させたり体内の余分な熱や水分を排出する作用があります。
また、日本官能評価学会の調べによると、ストレスを感じた後は苦味を感じる機能が低下し、苦味のある食品をおいしく感じるという傾向があるようです。
うま味
主にグルタミン酸、アスパラギン酸、イノシン酸の3つがうま味を感じられる物質として挙げられます。グルタミン酸とアスパラギン酸はアミノ酸で、イノシン酸はヌクレオチド構造を持つ化合物です。その他、イノシン酸、グアニル酸、キサンチル酸などうま味を感じられる物質は複数あります。
うま味はタンパク質の豊富な食物を探すために発達した味覚だと考えられます。タンパク質に味はありませんが、タンパク質の構成成分であるグルタミン酸などはうまみ成分として感じることができます。いい感じに肉が熟成されて、人にとって吸収しやすい状態が一番おいしいと感じられるのかもしれません。
その他の味覚
上記に挙げた以外にも感覚からくる味覚や研究中の味覚として下記の六種類があるようです。(Wikipedia調べ)
辛味
温度を痛みとして感じる器官を刺激することで辛味を感じることができます。唐辛子に含まれるカプサイシンは高温を痛みとして感じる器官を、ワサビに含まれるアリルイソチオシアネートは低温を刺激として感じる器官を刺激します。
冷たい感覚
冷たさを感じる器官をメントールなどが刺激することで感じられます。
渋み
タンニンなどが収れん作用(組織や血管を縮める作用)を起こすことで感じられます。
カルシウム
マウスではカルシウムを感じられる器官が見つかっているようですが、人では不明です。その器官が人にもあることを示した研究もありますが、まだ数が少なく研究段階の様です。
脂肪
マウスでは脂肪を感じられる器官が見つかっているようですが人では不明です。
コク味
カルシウム受容体があるならばグルタチオンという物質によりコクを感じられるそうです。
さいごに
味覚の化学は年々進化していますね。五つの味覚以外にも新しい味覚が見つかりそうになったり、舌以外の喉や食道にも味を感じる器官(味蕾:みらい)があるとされています。これを元に新たにおいしい品種や商品が開発されることでしょう。
ちなみに、1990年ごろまでは、舌の先端は甘みを感じる、横側では塩味を感じるという「味覚地図」が信じられていましたが、今ではそれは間違いとされています。私は味覚地図があると思っていたので、こんなに前に否定されているとは意外でした。
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